歯周病治療
歯周病治療
歯周病とは“歯の周りの病気”です。つまり歯ではなく、歯肉(歯ぐき)や歯槽骨(歯を支えている骨)に問題が起こることです。
細菌が歯周ポケットへ侵入し、歯肉に炎症を引き起こし、歯槽骨を溶かし始めます。そうすると歯槽骨に付いている歯肉も下がり始め、歯を支えている力が弱くなり、歯がグラグラし始め、やがて抜け落ちてしまいます。炎症が歯肉だけに留まっている状態を「歯肉炎」、炎症が歯槽骨や歯根膜にまで広がっている状態を「歯周炎(歯槽膿漏)」といいます。むし歯と違い痛みがなく、知らぬ間に進行してしまうため、定期的に歯科医院へ行き、早期の発見・治療が大切です。
この歯周病は決して大人だけがかかるものではありません。やわらかい食事が増えた食生活の変化により、歯肉に炎症を起こす子どもが非常に増えてきています。深刻でない子どもの歯周病も、放置してしまうと大人になってから深刻な歯周病となり、歯を失ってしまう原因に繋がってしまいます。子どもの頃から正しい口腔ケアを身につけましょう。
子どもの歯周病はほとんどが歯肉炎で、ご家族の協力が必要です。
歯周病と歯肉炎の違いは範囲です。歯周病は骨まで菌に犯された状態のことを言い、歯肉炎は骨までは行かず、歯肉に限局した状態のことをいいます。子どもの場合はほとんどが歯肉炎です。歯肉炎で歯を失うことはありませんが、放置してしまうと悪化が進み、治りにくくなることもあります。子どもだけではお口のケアは難しいため、ご家族と歯科医院との協力が必要不可欠です。また、お口の中の環境も遺伝します。親御さんがむし歯や歯周病が多ければ子どもも将来的なリスクがあります。症状が出る前に検診で確認しましょう。
子どもが自分でお口の中を綺麗にするのも、親御さんが綺麗に磨くのも難しいです。歯磨きが不十分だと気が付いたら歯肉炎になっていたということもあります。特に歯肉炎は症状がないので気付きにくいです。もし、子どもに以下のような症状があれば歯肉炎の可能性があります。お早めにご相談ください。
健康的な歯肉は薄いピンク色で引き締まっています。これは大人も同じです。
歯肉炎になると全体的にぶよぶよと腫れるようになります。この状態になると歯肉がもろくなり、歯磨きの刺激だけで歯肉が破れてしまい、出血します。
歯科医院でしっかりケアすることで元の健康的な歯肉に戻り、出血もなくなります。もちろん、歯科医院でのケアだけでは不十分です。日々の歯磨きはご自宅にてご自身で行ってもらうものです。毎日、歯科医院に来てもらうわけにはいきません。普段の歯磨きの方法を確認し、正しい歯磨きの方法を指導させていただきます。一緒に子どものお口を守りましょう。
子どもの歯肉炎には、大きく分けて4種類の歯肉炎に分かれています。
子どもの歯肉炎で最も多いのがこの不潔性歯肉炎です。不潔性歯肉炎とは、その名の通り、歯磨きが不十分な場合に歯肉に炎症が起こることです。歯磨きが不十分だと、お口の中にプラーク(歯垢)が溜まり、細菌が増加します。子どもには強い力でゴシゴシと歯を磨くことが多いです。そうすると歯肉を傷つけてしまい、そこから感染して歯肉炎を発症します。そのため、正しい力加減で磨くことが大切です。
不潔性歯肉炎になった場合、お口の中に溜まったプラークや歯石を取り除くことでほとんどの場合は健康的な歯肉に治ります。ですが、治って終わりではなく、歯科医院での正しい歯磨き指導を受け、実践してもらい、健康的な歯肉の状態を維持してもらうことが大切です。
萌出とは、歯が生えることです。つまり、大人の歯が生える時に起こる歯肉の炎症です。歯が完全に生え終わる過程で、歯肉に埋もれている期間があります。特に、奥歯はむし歯にもなりやすい細かい溝があります。この溝や、歯肉が覆っている部分に汚れが溜まり、炎症を引き起こします。
つまり、萌出性歯肉炎は大人の歯が完全に生え終われば症状が落ち着く、一時的な炎症です。だからと言って放置していいわけではありません。ご自宅での歯磨きをしっかりしましょう。
思春期性歯肉炎は、10〜15歳頃の小学校高学年から中学生頃に主に見られる歯肉炎です。特に男子より女子に見られることが多く、毎日しっかり歯磨きをしていても起こることがあります。
理由は“女性ホルモン”に起因しているためです。
なので、年齢とともにホルモンバランスが落ち着くと歯肉の炎症も治ります。
予防としては、日々の歯磨きはもちろん、食生活で栄養バランスを整えることでホルモンバランスも整えることが必要です。こちらもやはり、親御さんの協力が必要となります。
若年性歯周炎は侵襲性歯周炎とも言われます。
歯周病は、40代を迎えたあたり、中高年の方に多いというイメージがあり、自分はまだ大丈夫と思っている方が多いかと思います。ですが、10代や20代でも発症することがあります。また、一般的に歯周病は、比較的ゆっくりと進行しますが、若年性歯周炎は急速に進行します。なので、侵襲性歯周炎と呼ばれることもあります。
一度溶けた骨は元には戻りません。早期に進行を止めることが何より大切です。元に戻すのではなく、進行を止めることが歯周病の治療です。
手遅れになる前に歯科医院で定期的に診てもらいましょう。
歯を磨いていても、意外と磨けていない、歯ブラシが行き届いていない部分があります。ですが、プラーク(磨き残し)を目で確認することは難しいです。まずはプラークを専用の薬剤で染め出しを行い、実際に確認してもらいます。現状のブラッシングでどこが磨けていて、どこが磨けていないかをよく理解した上で、正しいブラッシング方法を学んでいきます。
子どもでも歯石がある子はたくさんいます。歯石は歯の表面に付着したプラークに唾液中のリン、カルシウムが混ざることで石灰化したものです。歯に付着しており、それ自体の病原性はありませんが、表面がザラザラと汚れが付きやすいため、プラークが付着し、そのプラークが歯石になり…を繰り返し、歯石がどんどん大きくなります。歯石は、超音波スケーラーやキュレットスケーラーなどの歯科医院専用の器具を用いなければ取り除くことが出来ません。
治療が終わったらお終いではなく、大切なのは継続して良い状態を維持し、むし歯や歯周病を再発させないことです。そのためには、定期的に歯科医師のチェックと歯科衛生士による専門的なお口の清掃(クリーニング)を行います。
最低でも半年に1回は定期的にチェックを受けるようにしましょう。進行した歯周病の治療が終わった方は、1~3ヶ月のサイクルで来院し、安定した歯肉の状態を維持・管理していくことが大切です。
子どものお口を歯肉炎から守るためには何より、ご家族の協力が必要不可欠となります。子どもと一緒に歯科医院で正しいブラッシング方法を教わり、子どもが歯を磨き終えたらしっかり仕上げ磨きをしてあげてください。その時にご家族からもブラッシング方法を教えてあげてください。
お困り事はいつでもご相談ください。
一緒に子どものお口を守りましょう。
歯茎の腫れや出血は、歯に原因があるケースもあり断定はできませんが、歯周病の初期段階によく見られる症状です。
歯周病は、腫れや出血などの自覚症状が出る活動期と自覚症状が治る静止期があります。
歯周病でなくても歯茎から出血をする事があります。
一度ご相談ください。
口臭は自分自身ではなかなか気が付きづらい症状です。
そのため、突然人から指摘されてショックを受けたという方も多いのではないでしょうか。
口臭の種類には、「生理的口臭」「病的口臭」「外因的口臭」「内因的口臭」があり、そのうち「病的口臭」の原因のひとつとして歯周病があげられます。
歯周病自体が遺伝することはありません。
歯周病は歯周病の原因となる「歯垢(プラーク)・歯石」の中に含まれる原因菌に感染することで発症する感染症です。
なので、子どもの免疫が出来上がる前にご家族の使った食器などの使い回しによって菌に感染します。
また、親が歯周病にかかっていても、その子どもが歯周病になるとは限りません。
しかし、歯周病菌に感染しやすいなどの抵抗力の遺伝や、歯垢(プラーク)が付着しやすいといった歯並びの遺伝は考えられます。
歯磨きをしたからと言って、歯に歯垢(プラーク)が残ったままでは意味がありません。
そのため、歯周病予防には正しいブラッシングが大切です。
しっかりと歯垢(プラーク)を除去するには、正しいブラッシングを続けることが大事です。
それに加え、歯科医院で歯科医師や衛生士によるプロフェッショナルケアも必要です。
感染します。
歯周病は、歯垢(プラーク)の中の歯周病菌による感染症です。
歯周病菌は、空気を嫌う嫌気性菌のため、空気の少ない歯と歯茎の間で繁殖し、唾液の中にも含まれています。
そのため、親が子どもに口移しで食事を与えたり、箸やスプーンを共用したり、直接唾液にふれるキスをしたりすると感染する可能性があります。
子どもの免疫が出来上がるまで(およそ3歳と言われている)は食器の共用や口移しは控えましょう。
3歳まで菌がお口にいなければ大丈夫と言われています。